今回吉野ケ里遺跡で発見された石棺墓の発掘調査結果について、本日、調査担当者より報告がありました。先週、石棺墓の蓋を開けたときの映像で副葬品は見当たらなかったので、あまり期待はできないと思いつつ、何となく期待してしまっていたようです。しかし、残念ながら何も出ませんでしたね。

 この報告の中で、調査担当者が「盗掘の可能性はない」、「標高はここより北墳丘墓のほうが高い」と言ったことが、今後の行方を示唆しているように私には思えました。

 「盗掘の可能性はない」ということは、この石棺の中には銅鏡も勾玉もなく、場合によると遺体もなかったということにもなります。棺墓の内寸36cmという狭さは子供でも苦しそうなのに、小柄だっとしても、大人ではかなり苦しいのではないかと思えます。この石棺墓は何らかの理由でもともと空だったのではないか、とそんな疑いが出てきてもおかしくありません。
 石棺内に銅鏡が見当たらなかったことは、被葬者に対する何らかの期待もほぼ失われたことを示している、とみることもできます。調べてみると、吉野ケ里遺跡での銅鏡の出土は前漢鏡の一例があるだけであり、これも気にかかるところです。

 「標高はここより北墳丘墓のほうが高い」は、この石棺墓の被葬者より北墳丘墓の被葬者のほうが身分が高かった、ということを示しているとみることもでき、この石棺墓の被葬者を単純に「有力者」と決めつけることはできなくなる可能性もあります。

 とはいうものの、今回の新たな石棺墓の発見発掘を含め、今後、吉野ケ里遺跡がどのように評価されていくのか、注視していきたいと思います。